二井光麿先生の論文が、Pediatrics Internationalに掲載されました

新生児グループの二井光麿先生の論文が、Pediatrics International誌に掲載されました!

Mitsumaro Nii, Toshio Okamoto, Tatsutoshi Sugiyama, Aiko Aoyama, Ken Nagaya
Reticulocyte hemoglobin content changes after treatment of anemia of prematurity.
Pediatrics International 2022-08-15 | DOI: 10.1111/ped.15330

おめでとうございます!

以下、論文の要旨です。

乳児期の鉄欠乏は、神経発達に影響するとされ、適切な鉄の補充が重要である。網赤血球ヘモグロビン量(RET-He)は、極少量の血液で血算検査と同時に検査が可能で、体内における鉄の過不足をリアルタイムに評価することができるとされている。本研究では、極低出生体重児における未熟児貧血治療中のRET-Heの経時的変化を評価し、早産児におけるヘモグロビン合成の特性を明らかにすることを目的とした。旭川医科大学病院NICUに入院した早産極低出生体重児54名を対象とし、RET-He及び貧血に関わる検査項目の経時的変化を解析した。RET-Heは出生時に最も高く、その後は低下傾向となった。特にエリスロポエチン注射開始後は、血清フェリチン値が低値ではないにも関わらず、RET-Heは急速に低下し機能性鉄欠乏の状態を呈していた。鉄剤内服開始後もRET-Heは速やかには上昇せず、内服開始後5〜6週間で緩やかな上昇を示した。未熟児貧血の治療中、RET-He低値は長期化する可能性がある。したがって、未熟児貧血は、早産児の鉄代謝能力を考慮しながら、ケースバイケースで評価し、治療する必要がある。

上図は極低出生体重児における未熟児貧血治療中のRET-Heの経時的変化を示しています。(T0:出生時、T1:エリスロポエチン注射開始前、T2:鉄剤内服開始前、T3:鉄剤開始後1-2週、T4:鉄剤開始後3-4週、T5:鉄剤開始後5-6週、T6:鉄剤開始後7-8週)