留学報告(島田 空知 先生:榊原記念病院小児循環器科)

島田 空知(旭川医科大学小児科 循環器グループ)
  • 日本小児科学会 専門医・指導医
  • 日本小児循環器学会 専門医

 

留学報告

2019年4月~2021年3月の2年間,東京都府中市にある榊原記念病院へ,小児循環器医としての国内留学の機会を頂きました。
先天性心疾患は,およそ100人に1人…決して無視できない割合で出生するとされ,生涯に渡ってフォローアップが必要な方も多いです。一方で,個々の心疾患はバリエーションが多く,広大な地域を支える旭川医大小児科が関わる医療圏においても数年に一度しか経験しないような疾患もあります。かけがえのない一人の子に,経験不足などという言い訳の余地もない最良の医療を提供するためには,High volume center での研鑽が必要と考え,この度,循環器専門施設である榊原記念病院に留学させて頂くこととなりました。

榊原記念病院は,東京都心から西方に位置しています。小児/成人それぞれの循環器内科/外科,産婦人科,集中治療科…と,循環器領域に関わる診療科で構成されています。小児循環器領域としては,先天性心疾患の治療実績数(外科手術+カテーテル治療)で日本一を誇ります。患者さんは全国各地から来ており,医師間の依頼を中心とし,メディアで評判を聞きつけてお越しになる方もいました。

各科は,(詳しい基準はよく分かりませんが)長期雇用されているスタッフ医と,私のように期間限定で修行目的に来るレジデント医から成り立っています。小児科レジデントは毎年3~4名ずつ,医師としてだいたい5~10余年目が集まります。ジェネラルに小児科をやってきて(中には,新生児を10年程やってきた方もいました),ここから循環器スタートした方から,循環器は5年くらい経験済みの医師もいました。
私は小児循環器を大学で2年間を過ごし,医師として10年目で榊原に赴任したので,真ん中ややシニアよりのレジデント医ということになります。実際には年次など無関係に,仲間たちのマンパワーを最大限に協同して,やっと患者さんに必要な医療に届いた…かな?という域だったように思います。小児外科にもフレンドリーな仲間が3名おり,お互いの視点を共有できたのも大きな財産でした。

榊原記念病院は前述の通り,先天性心疾患の治療としてメッカの病院です。2年間で約350人の入院を担当し,心臓カテーテル検査/治療は150件,心エコーは1000件,周術期管理150人程度という数でした。
入院患者さんのおよそ半数は,二心室循環(右心室から肺,左心室から全身に,別々のポンプを使っている哺乳類の循環です)が成立し得ない方でしたので,冒頭に書いた「数年に一度の症例」も多く経験させて頂きました。成人科との垣根も低く,各地のこども病院で悩むようなトランジションの問題もほとんどありません。一方で,多領域が関わる必要のある方——早産児や染色体異常,腫瘍循環器…,後天性心疾患——川崎病や血管炎,心筋症,不整脈…の診療は少ないです。
また,2年目には半年かけて,さらに踏み込んだ修練として①小児集中治療,②エコー(胎児・経食道を含む),③不整脈デバイス,の領域について,①では集中治療医と外科,②③では成人科に交じって一緒に学ぶ機会も頂きました。

院外活動としては,学会活動をいくつかと,論文テーマを2~3持ち帰らせて頂きました。榊原研究助成(ほぼ先輩の御力)と小児循環器の専門医資格も在籍中に取得できたことは,幸いでした。

以上のような2年間で,多種多様な先天性心疾患を持つ患者さんを,兎に角たくさん診療させて頂きました。今度は,この留学で得たことを北海道の患者さん達——先天性心疾患に限らず小児循環器疾患を抱える方,集中治療を要するお子さん達も含めて——に応用し,旭川医大の一員として最善の診療を提供していく責務があると思っています。

このような貴重な機会を与えて下さった旭川医大小児科医会の皆様,たくさんの経験とご指導を頂いた榊原記念病院の皆様,および頼れる大黒柱がいなくて苦労をかけた家族に,大変感謝しております。
最後まで読んで頂き,ありがとうございました。今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。

※ もう少し踏み込んだ留学内容を知りたい後輩,学生さん方がもしいらっしゃれば,お気軽にお声がけください。

 

【お知らせ】7月9日~11日に開催される、第57回 日本小児循環器学会総会・学術集会にて、島田先生が留学中の業績を発表される予定です。

 

 

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