留学報告(櫻井 由香里 先生:神奈川県立こども医療センター血液・腫瘍科)

櫻井 由香里(旭川医科大学小児科 血液・腫瘍グループ)

  • 日本小児科学会 専門医

 

留学報告

2019年4月から2021年3月まで、神奈川県立こども医療センター血液・腫瘍科へ国内留学をさせていただきました。神奈川県立こども医療センターは小児がん拠点病院で、常時40~50人の小児血液疾患や小児がんの子ども達が入院しています。血液・腫瘍科は7人の常勤スタッフとシニアレジデント(定員2人)で構成されており、私はシニアレジデントとして2年間専門研修をさせていただきました。

 

神奈川県立こども医療センターの外観

 

シニアレジデントは、10~15人の入院患者を主治医として担当します。日々の検査や処置、全身管理はもちろん、治療方針の決定、患者さん・ご家族への説明などすべて自分で行います。指導医が一人付くほか、カンファレンスの場で治療方針の相談はできますが、細かな指図を受けることはなく、若手の自主性が重んじられていました。

 

骨髄像の読み方もトレーニングしました

 

小児がん全体の5年生存率は80%を超えており、標準治療を行うことで寛解し長期生存を得られる患者さんが半数以上を占めます。しかしながら、治療法を変更・工夫しなければいけないケースや、何をやっても効果がないケースも一定数あります。留学前はこのような症例の治療方針は「上の先生が決めてくれる」のが当たり前だと思っていました。しかし、神奈川に行って半年ほどたったころ、化学療法・放射線療法・手術療法を終えた横紋筋肉腫の患者さんに残存腫瘍が疑われた際、
「これまで患者さんをみてきた櫻井先生が寛解だと思ったら寛解だよ」
「そろそろ患者さんの人生を背負わなければいけないよ」
と上級医の先生方から言われ、目が覚めたような気持になりました。自分以外の先生方は若手もベテランも、治療経過が思わしくない場合は最善の治療を求めて徹底的に文献をあたったり、他院のエキスパートに意見を求めたりしていました。自分もそうする責任があるし、経験や知識が浅い分、倍の時間調べたり考えたりしなければならないのだと確信しました。2年間の間に、合併症や基礎疾患で標準治療どおりに行かない症例、再発を繰り返す治療抵抗例を多く診させていただき、最善の治療を考え続ける姿勢を学べたことが、最も大きな財産となったと考えています。小児がんの治療は日々進歩しており、今後もこの姿勢を忘れず精進していきたいと考えております。
最後に、早くから留学の機会を下さった更科先生、鳥海先生、そして医会の先生方に深く感謝するとともに、道北の小児血液・がん医療に貢献することでお返ししていけたらと改めて決意する所存です。今後ともご指導をよろしくお願いいたします。

尚、コロナ禍のため都会で女医コン(女医専用の婚活パーティ)に行く機会を逃しましたので、代替治療をご提示いただける先生がいらっしゃいましたらご連絡をお願い申し上げます。

 

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