やばくない?

「やばい」って言葉、よく耳にします。我々世代はあまり良い意味では使いませんが、今は良い意味で使うことの方が多いんでしょうか。「あのお店、マジやばくない?」って聞いたら、僕だったら絶対行きたくありません。でも美味しいとかおしゃれとかの良い意味で「やばい」って言うんですよね。それを強調するのが「マジ」とか「チョー」とか「めっちゃ」。
そういえば、”very” の北海道弁「なまら」ってすっかり聞かなくなりました。いつからでしょう、「あのお店、なまらうまいべや」が「あのお店、マジやばい」に変わったのは。

先日は看護師さん達が、お菓子の話しをしながら「やばい、やばい」を連発してました。美味しくてやばいんだろうか?それとも食べすぎてやばいことになってるんだろうか?完全に大きなお世話だと思うんですけど、色々考えてしまいます。
ちなみに「あの先生、マジやばいよね」って言われたら、私だったら落ち込んでしまいます。知らない間に何か変なことした?それとも親父ギャグの言い過ぎ?あーもうこの職場では働けないって。でも、もしかしたら褒め言葉かもしれないんですよね。だとしたら嬉しい。よっしゃ今日も頑張ろうって。我ながら単純ですが、全然違いますよね。どっち?ってなります。

さてこれは先日ご近所ランした時の写真。遠くに大雪山・十勝岳連峰が見えます。北海道最高峰の旭岳は左側、少し木の陰に隠れてますが、全体の山並みがすごく美しい。旭川に来て30年、大好きな景色の一つです。やっぱりこれを「めっちゃやばい景色」と表現するのは抵抗があります。

ある晴れた冬の早朝、当直明けに出会った景色。旭岳と周辺の山々の佇まいと川霧も相まってとても幻想的でした。疲れを忘れてしばらく朝日が登るのをぼんやり見ていました。院内からこんな景色を見ることができるなんて本当に贅沢ですね。

旭岳からずーっと右側に目を向けると、雪を戴いた十勝岳連峰の山々。青空に映えて美しい。十勝岳から噴煙が上がってます。
ちなみに十勝岳連峰の向かって右端の山も旭岳って言うんですね。最近まで知りませんでした。同じ「旭岳」ですが、知名度は全然違います。「旭岳」って言われても、普通、どっち?とはなりません。「旭岳集合」って言われて端っこの旭岳で待ってたら、それこそやばいやつです。

個人的には知られていない方の旭岳を応援したくなりますが、山にとっては知名度なんて関係ないんでしょうね。ただ、そこに存在しているだけ。男は黙ってサッポロビールみたいな。自分は主役じゃないけれど、皆から注目されてもいないけれど、自己主張する訳でもなくただ黙ってそこに存在して、風景の一部になっている。北海道最高峰の旭岳と、端っこの旭岳を見比べながら、自分の人生や存在価値について真剣に考えてしまいました。そしてこんな時は頭の中で尾崎豊の「15の夜」が流れます。“自分の存在が何なのかさえ解らず震えている〜”って。
15歳どころか、もう50歳が近いのに、しかも昼間っから自分の存在価値について考えてる精神状態って、マジやばいんだろうか?

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