出張旅日記:雄武編―霧を抜けて

今回は出張旅日記第二弾。第一弾で紹介した枝幸町から南へ約50kmのところに位置する、人口約4500人の雄武町。枝幸町と同じくオホーツク海に面した、自然豊かな町。そんな雄武町に先月出張した時のお話です。

今回も自家用車で移動。この日は途中から濃霧で見通しが悪く、運転には結構神経を使いました。エゾシカとパトカー、いやいやスピードの出し過ぎに注意して、約2時間半の運転。なんとか無事故無違反で雄武町に到着すると、こんな景色が。

これ、海なんですけど分かりますか?霧で水平線が見えません。海と霧と雲。オホーツクブルーではないけれど、これはこれで思わず見入ってしまう景色です。むしろ晴れ渡った空よりも、今の私のブルーな気持ちにぴったり。はぁ、なんでしょう、最近続いているこの曇天のようなモヤモヤした気持ちは。
そしてこの日はこの後、お弁当食べてビール飲んで、運転で神経使ったし気持ちも沈んでるし…と自分に言い訳しながら、仕事で開いたはずのパソコンでYouTube見て就寝。こんな日もあるさ。にんげんだもの。

翌日は終日外来。平和な1日でした。我々が忙しくないってことは子供たちが元気だってことです。そして診療が終わってからの帰り道は、やはり前日と同じ濃霧。病院の方から「先生、シカに注意して下さいね」って念を押され、帰宅の途に。

見通しは悪いんですが、とっても幻想的な景色です。おとぎの世界に来たみたい。魔女や魔法使いでも出てきそうですが、実際飛び出してくるのは…そう、エゾシカです。

そこから約15分、峠にさしかかると徐々に景色が変わってきます。

少し晴れて見通しが良くなってきました。もう魔女や魔法使いは出てきそうにありません。もちろんまだエゾシカは出てきますが。

そして更に1時間、雄武町のあるオホーツク地方から旭川市のある上川地方に入ると景色はもっと変わってきます。

水田に夕暮れの景色が映り、とても綺麗です。

そして我が家まであと10分。

空が茜色に。魔女や魔法使いはおろか、もうさすがにエゾシカも出てきません。わずか2時間半ぐらいでこんなにたくさんの景色に出会えるなんてすごいです。地域が変わると気候、そして景色も変わる。北海道は広い。北海道はでっかいどう。

今は北海道の詳しい地形や、霧が出現したり夕焼けが見えたりする仕組みが分かっていますが、科学が進歩する前は、もしかしたら茜色の空を見て「これは霧の世界にいた魔法使いの仕業に違いない」とか思う人がいたかもしれません。「空よ赤くなれ〜!、それ〜!」って魔法をかけると霧が晴れて夕焼けになる。我々にしてみれば子供っぽい発想ですが、実際はその方が夢があってよくないですか?そして、もしそんな魔法があるなら、ついでにこの心のモヤモヤも綺麗さっぱり晴らしてほしい。「心よ晴れろ〜!、それ〜!」って。でもこれ、よく考えたら魔法ではなく、ただ気合入れてるだけかもしれませんね。「闘魂ビンタ、いくぞっ!、ダ〜!」みたいな。
ということで、にんげんだものとか言ってないで、気合入れ直して現代科学と向き合おう。と言いつつ、まずはパソコン画面に向き合って、YouTubeでアントニオ猪木の動画を検索…。

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