倒木更新

いきなりですが、今年7月に奄美大島・徳之島・沖縄島北部・西表島が、ユネスコ世界自然遺産に登録されましたね。世の中がもう少し落ち着いたら、ぜひ出かけてみたいと思っています。でも、もちろん今ではありません。そしてこのニュースを見て、私はふと10年前の夏休み、同じ世界自然遺産の屋久島に行った時のことを思い出したのでした。

当時日々の生活に疲れ果てていた私は、なぜか突然、無性に縄文杉を見に行きたくなり、ネットで目にした縄文杉トレッキングツアーと、ついでに見つけた白谷雲水峡トレッキングツアーを申し込み、大した下調べもせず3泊4日の屋久島の旅に出かけたのでした。


屋久島到着。いい感じです。

翌日さっそく縄文杉ツアーへ。早朝まだ暗いうちから出発し、昼頃まで歩き続けてやっと縄文杉にたどり着くという、往復約10時間というものでした。結構過酷なんですねって、ちゃんと調べておけよって話ですが。


樹齢約2600年、圧倒的な存在感です。当時樹齢38年の私の存在なんて本当にちっぽけなものです。おいお前、まだまだこれからなんだから頑張れよって喝を入れられた気がしました。早朝から頑張って歩いた甲斐があった。

その翌日は、縄文杉のついでに予約した白谷雲水峡ツアー。白谷雲水峡は映画「もののけ姫」の舞台のモデルだそうです。へーそうなんですかって、ちゃんと調べておけよって話ですが。でも、そもそも「もののけ姫」を見ていないので、そんなに感慨はありませんでした。ただ実際に行ってみるとこれが実に素晴らしかった。

とても神秘的な光景です。しかも、縄文杉ツアーほど過酷じゃありません。

何か神聖なものが宿ってそうです。そして、何より途中でガイドさんから聞いた話が心に残りました。
屋久島の森では、倒木を栄養にして次世代が育つ「倒木更新」という世代交代の方法があるんだそうです。倒れた木が腐って、その上に次世代を担う若木が育つというのが倒木更新。親木が倒れた後、自らの身を腐らせて栄養分となって我が子を育てるんですね。ちなみに切り株の上で同じことが起こるのを切株更新というそうです。


これが倒木更新。


そしてこれが切株更新。

その話を聞いて思いました。これ、何も屋久島の森に限ったことではなく、人間や組織にも言えることなんじゃないだろうか。親、あるいは組織の上の人間は、そうやって下の世代を育てる責任があるんじゃないだろうか。

ちなみに倒木更新は、親木が地面から浮いて倒れてしまうと若木が根付くことができず育たないそうです。ということは、親木は栄養になれるぐらいにしっかり育ち、そして若木が根付けるように地面にしっかり倒れなければならない。何事も中途半端じゃ次の世代は育たないんですね。

自分は、今倒れたら十分な栄養になれるんだろうか。もし大して栄養になれないんだったら、せめて倒れ方だけでもちゃんとしなきゃ。いや、そもそもその前にもっと頑張りなさいって話なんですけどね。そう、この独り言の更新も。

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