鞆の浦ひとり旅:前編

すでに夏は遠い過去。むしろ次の夏の方が近くなってしまった先月末、遅い夏休みを頂いて一人実家に帰省してきました。昨年の帰省に引き続き、今回も生まれ故郷のともの浦を散策しましたが、せっかくだからと誘った母親から「たいぎなけぇ、あんた一人で行ってきぃ」と言われ、みちのくひとり旅ならぬ鞆の浦ひとり旅。ま、旅といっても車で20分ぐらいの近場ではありますが…。
ということで、今回の独り言は私の帰省旅日記。中年になった私の目に映る、少年時代を過ごした生まれ故郷を紹介しようと思います。

こちら、すっかり鞆の浦のシンボルとなった「常夜燈」。

映画やドラマにも登場しているこの場所は、週末ということもあってたくさんの観光客で賑わっていました。でも、私にとってここは「イサオ君ちの近くの石灯籠」。魚が釣れない場所としても有名でした。

反対側の方が釣れます。でも、もう40年近く前の話です。そもそも観光地化してしまった今は、ここで魚釣りする地元の人なんていないのかもしれない…。

そんなことを考えながら、自然と足が向かうのは、今はなき生家の近く。これが帰巣本能ってやつなんだろうか?

毎日のように遊んだ、生家の前の浜。ただただ懐かしい。

そして、裏山にある「医王寺」へ。ここは鞆の浦で二番目に古いお寺だそうです。

境内から見えるこの景色、これが私の心の原風景です。

そして医王寺からさらに石段を登り、「太子殿」を目指します。

かのシーボルトも登ったというこの長い石段。子供の頃、何段あるのか数えながら登った記憶が蘇ってきます。でも大抵途中で他の事に気を取られ、結局何段あるのか分からなくなっていました。実は、今回もそう…。

一応石段に数字が彫られているのですが、よく見ると全く段数を反映していません。

絶対583段じゃないけれど、それなりの段数を登った先に待っているのは、

鞆の街を一望できる絶景。瀬戸内海の島々の向こうに四国も見えました。昔と変わらない景色を見ていると、子供の頃の思い出が蘇ってきます。それにしても天気が良くて気持ちいい。頑張って登った甲斐があった。

そして来た道を戻り、前回の帰省の時に行けなかった「沼名前ぬなくま神社」を目指します。

道中、「寺町筋」に建ち並ぶお寺の庭では梅の花が咲いていました。

澄んだ青空に紅白の梅の花。鳥の囀りも聴こえます。春はもうすぐそこですね。

途中観光スポットの「山中鹿之介首塚」と「ささやき橋」を通りますが、私にとってここは「ジュンヤ君ちの前の道路」。曲がり角が続くこの場所をチャリで疾走し、何度自転車や車とぶつかりそうになったことか。

そして見えてきたのが沼名前神社、通称「ぎぉんさん」。鞆の浦を代表する神社です。

神社の境内には、かの豊臣秀吉が造らせたという能舞台があります。ここも子供の頃の遊び場の一つでしたが、実は国指定重要文化財なんですね。なんかすごい所で遊んでいたんだなあ。

そして参拝を済ませ、せっかくだからと100円払っておみくじを引くと、

なんと初詣の時に大吉だったおみくじは、わずか2か月で末吉に降格。学問は自己に自信を持つこと、恋愛は浮気心は捨てよ、だそうです。
ついでに旅行は十分ならず 急ぐな、って、そんなこと言われてもすでに鞆の浦ひとり旅は始まっているんですけど…。

ということで、この後の道中で私を待っているものとは…?
気になる(?)私のひとり旅は、後編へ続く。