留学体験記

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(2014年卒業)
(2014年卒業)

<留学体験記①>

名前 松本 尚也
留学先 神奈川県立こども医療センター
留学へ行かれた年次 卒後8年目と9年目

 

Q1.留学へ行かれた経緯を教えてください。

小児科の血液・腫瘍グループの先輩2人が留学した場所であり、雰囲気を伝え聞いていました。
小児の血液・腫瘍疾患を学ぶ上で、患者さんが数多く集まってくる「小児がん拠点病院」であり、本格的に小児の血液・腫瘍を勉強したいと考え、留学に行かせていただきました。

 

Q2.どのような仕事をしていましたか?

病棟担当医として、入院患者さんを中心に診療していました。他病院への出張はなく、主治医制で診療していました。
チームで大筋の方針は相談しつつも、自分で検査や治療方針を決め、ご家族や本人へICを行い、他科との連携などを含めてマネジメントしていました。

病院全体が明るい色調で作られていたり、採血スピッツが元から最小量で済むように作られていたりするところは、こども病院ならではだと感じました。

 

Q3.留学で得られたこと、行ってよかったことはなんですか?

自分で責任をもって入院から退院まで、退院後のフォローも含めて担当させてもらい、多くの小児血液・腫瘍疾患の診療の流れを学ぶことができました。
中には1年近く入院していた患者さんや、治療に反応せず看取りまで行った人もいて、ご家族や本人との接し方、話し方が難しい場面もありましたが、真摯に向き合いより良い方向を探していく中で信頼関係が構築されてくるのを感じました。
これからも患者さん、ご家族ときちんと向き合って、気持ちを共有していく「共感力」を大事にしていきたいと思います。

 

Q4.留学で大変だったことは何ですか?

数多くの患者さんが集まってくる病院であり、仕事量としてはハードな時期もありました。
抱え込まずに他の人に頼れることはうまく頼るのも能力だと感じました。

金銭面としては、給与は安定して得られていましたが、強いて言えば横浜なので北海道よりも家賃(+駐車場代)が高いのと、引っ越し代がかさみました。
もう少し工夫はできたかもしれません。

 

Q5.息抜きは何をしていましたか?

土日も残務に追われることもありましたが、家族(妻と娘)で一緒に行ったので、当番ではない土日はお出かけしたり、娘の運動会に参加することもできました。

 

Q6.留学を考えている後輩へメッセージをお願いします。

新しい場所へ行くことは多少の恐さを伴うことではあり、勇気が少し要ることではあります。
年次を重ねるとフットワークがにぶくなってくるので、行かせていただける状況であれば可能な限り早めに勉強しに行くのをおすすめします。
慣れていない場所でこそ新しいことが学べます。

 

Q7.その他伝えたいこと。

自分はメンタルが心配だったので家族と一緒に行きましたが、単身で留学するのもありだと思います。
仕事が忙しい時期は、家族に謝って土日も調べものをしたり準備をしたりすることもありました。
ただつらい時期に支えてくれたのも家族なので、どちらが良いかは人によります。

コロナ禍で慌ただしい中、貴重な留学の機会を与えていただきまして、大学・関連病院の先生方には心より感謝を申し上げます

 

 

<留学体験記②>

名前 赤羽 裕一
留学先 名古屋大学大学院理学研究科附属ニューロサイエンス研究センター
留学へ行かれた年次 卒後8年

 

Q1.留学へ行かれた経緯を教えてください。

本格的なラボで基礎医学研究を勉強したいという気持ちがありました。
教授の共同研究者である名古屋大学の辻村啓太先生にお願いをして、特別研究学生という身分で受け入れていただくことになりました。

 

Q2.どのような仕事をしていましたか?

留学中は臨床医としての仕事はせず、一日中実験をする毎日で、大学病院の勤務とはまるで別の生活でした。
基本的な実験からマウス海馬神経細胞の初代培養やヒトiPS細胞の神経細胞への分化誘導といった難易度の高い実験まで幅広く学ぶことが出来ました。
いくつかの自分の研究テーマに沿って、悩みながら、多くの失敗を経験しながら研究を進めました。
Rett症候群モデルマウス脳の構造的MRI解析、microRNA-514aの神経細胞における機能解析、MECP2重複症候群病態におけるmicroRNAの関与といった研究を行っていました。

 

Q3.留学で得られたこと、行ってよかったことはなんですか?

分子生物学を基礎からしっかりと学ぶことが出来ました。
また上手くいかないことに対して自分で良く考え、分析する能力が身についたと思います。
さらにこれまで旭川医大では行っていなかった実験手技を持ち帰れたことも非常に良かったと思います。

 

Q4.留学で大変だったことはなんですか?

私は留学前の大学病院勤務時代にはほとんど実験をしていませんでしたので、留学先では初歩的なことから教えて頂きました。
慣れるまでは肉体面・精神面ともに大きく疲労しました。
また実験が上手くいかないことが日常茶飯事でしたので、はじめは落ち込むことが多々ありましたが、留学期間の後半では少しのことではめげない精神力が身についたと感じます。
研究学生という身分でしたので、週に1回のアルバイトで家族3人生活をしていました。
これまで計画的に貯金をしてこなかったことがあだとなり、金銭面では正直苦労しましたが、その分家族の絆が強くなったように感じます。

 

Q5.息抜きは何をしていましたか?

休日は午前中で実験を切り上げて、午後は出かけるようにしていました。子供と動物園や水族館にいったり、名古屋中のショッピングモールを散策したり、グルメなお店を探しに行ったりしていました。

 

Q6.留学を考えている後輩へメッセージをお願いします。

研究留学という選択は、臨床活動を休止するという点で躊躇することがあるかもしれません。
しかし長い目で見ればリサーチマインドを養うことは、偏りのないバランスの良い医師になるために必要なことだと私は思います。
そして今は治すことのできない病気に、自分の研究が少しでも役に立てればそれは素晴らしいことです。
是非、研究留学について一度考えてみてください。
もちろん私にできることがあればお手伝いします。