先人達の苦労

先日、平地でも雪が積もった旭川。

この雪はあっという間に溶けましたが、今年も根雪になる日が近づいています。

医局でも、

温かいお茶が始まりました。これから季節は本格的な冬を迎えます。

そんな寒い日が増えてきた今日この頃、少し前から通行可能となった大学と病院を結ぶ渡り廊下は、

まだ工事の途中ということもあって、鉄板がむき出しの状態です。なので、とっても寒いのです。

で、寒い寒いと文句を言いながら毎日この廊下を行き来しているのですが、先日たまたま目にしたこの写真、

なんと同じじゃありませんか。で、この写真をどこで見たかというと、

旭川医大小児科開講30周年記念誌に収められている講演録、「旭川医科大学創立の頃」の文中だったのでした。開学間もない昭和の時代、シベリア廊下と呼ばれたこの渡り廊下には断熱材も暖房設備もなく、隙間からは雪が入り、床一面に霜が張って、それはそれは寒くて大変だったそうです。

よく見ると、

令和の時代でもあります、隙間。ということはこれからの季節、廊下には雪が吹き込んで霜も張るんだろうか。道外出身者の私にはちょっと想像できませんが、先人達の苦労が身に沁みて分かるいい機会なのかもしれません…。

さてこちらは、

学会旅日記で杉山先生も紹介している国宝松本城。400年以上前の姿を今に伝えています。彼と同じ学会に参加した私も行ってきました。

早朝の松本城、お堀からうっすら朝霧が立ち上っているの分かります?学会期間中松本も寒かったのですが、当然400年以上前は断熱材も暖房もなく、先人達はどうやってこの寒さを凌いでいたんだろう。

そして夜、

世界早産児デーに合わせてシンボルカラーの紫色にライトアップされた松本城。現代を生きる私達は綺麗とか言いながらスマホで写真を撮っていますが、先人達がこのお城の姿を見たら驚いて腰を抜かすに違いない。

ライトアップはおろか照明すらなかった時代、先人達が過ごした冬は今よりもっと寒く、夜は今よりもっと暗かったに違いない。
でもその分、春はもっともっと輝いていて、星空はもっともっと美しかったんだろうなと思う。

先人達の苦労の上に、便利な今がある。でも、その分失ってしまったものもきっとある、と、

夜、煌々と電気のついた医局の明るい部屋で、暖房を効かせて温かいお茶を飲みながら、私はしみじみ思うのでした。