野原史勝先生の論文が掲載されました

新生児グループの野原史勝先生の論文が掲載されました。

Vitamin D status and the adequacy of its supplementation during the first year of life in preterm infants in northern Japan

Nohara F, Okamoto T, Takahashi K, Sugiyama T, Hashimoto A, Nii M, Yamaki Y, Tsuchida E, Satou T, Shirai M, Nagaya K, Takahashi S.

Pediatr Neonatol. (2025), https://doi.org/10.1016/j.pedneo.2025.03.003 External Link

以下、論文の要旨になります。

本研究は、北海道道北地域の早産児108例を対象とし、出生時のビタミンD欠乏の実態を明らかにするとともに、天然型ビタミンDサプリメント(BabyD®200、森下仁丹) を1日400単位、生後1年間補充した際の安全性と有効性を検討したものです。

出生時には全例で著明なビタミンD欠乏が認められました。ビタミンD補充による欠乏状態の改善には数か月を要し、生後1か月時点では多くの児が依然として欠乏状態にあり、一部の児では二次性副甲状腺機能亢進がみられました。一方、栄養法や紫外線暴露などの要因にかかわらず、1年間のビタミンD補充に伴う中毒症状を認めた児はいませんでした。

日本では、早産児に対して活性型ビタミンD製剤であるアルファカルシドール(VD3の合成アナログ)の投与が一般的ですが、天然型ビタミンD3(コレカルシフェロール)を栄養として摂取することは、より生理的で安全な方法と考えられます。本研究の結果は、日本の早産児医療において天然型ビタミンD補充を標準的な栄養管理として普及させるうえで、重要な基礎データとなり得るものです。